決算審査特別委員会委員長報告(平成20年度 各企業会計)

決算審査特別委員会における審査の経過及び結果について、御報告申し上げます。
 さきの9月定例会において、当委員会に付託され継続審査となっておりました、議案第81号から議案第86号までの平成20年度各企業会計決算の認定については、去る10月13日から15日までの3日間にわたり委員会を開き、慎重に審査を行いました。
 審査に当たっては、決算審査特別委員会の前年度の指摘事項ぞれ関係理事者から報告を受けるとともに、関係資料を参考に審査いたしました。
 その結果、議案第81号から議案第86号までの平成20年度各企業会計決算の認定については、いずれも全会一致をもって認定すべきものと決定いたしました。
以下、審査の過程において各委員からありました意見・要望等について申し上げます。

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まず、中央卸売市場事業会計について申し上げます。
 当年度は、前年度と比較して取扱数量で9,638トン、6.7%、取扱金額で59億6,450万9千円、11.6%と、ともに減少する中、経営成績では事業収益4億9,879万9千円に対し、事業費用は5億3,548万円となり、3,668万1千円の純損失を計上し、3年連続の赤字決算となっております。  また、市場外取引の増加や食に対する消費者ニーズの多様化、さらには平成21年4月から施行された卸売業者の手数料の自由化などの経営環境の変化は、構造的な要因として、地方の市場経営をますます厳しいものとしております。
 このような中、市場内にあき店舗がふえている状況を憂慮するとして、安定した経営を維持しつつ活性化を図るために、市場開放などの新たな視点・方策について検討するよう意見がありました。
 また、一部の駐車場において、不適切な使用があることを指摘いたしましたが、市場内の施設が適切に利用されるよう、業者指導を徹底するよう意見がありました。

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次に、商業観光施設事業会計について申し上げます。
 索道事業における当年度の延べ輸送人員数は17万7,399人で、1日平均では497人となっており、映画「眉山」の影響で大幅に増加した前年度の輸送人員をほぼ維持しております。
 一方、駐車場事業における当年度の年間利用台数は61万5,977台で、1日平均では1,688台となり、前年度と比較して年間で1万1,865台、1.9%の減となっており、この減少傾向に歯どめがかからない状況にあります。
 このような中、経営成績では、指定管理者からの固定納付金が前年度に比べ減少したことにより、総収益は2億3,701万3千円となり、前年度と比較して786万5千円の減収となっておりますが、総費用も減少し、結果として当年度は943万9千円の純利益を計上しております。
 また、不良債務は毎年増加傾向を示しており、前年度末から1,554万3千円増加し、15億5,627万6千円と多額となっており、経営基盤の悪化が懸念されております。
 こういった厳しい経営環境のもと、駐車場事業においては、利用者の利便性の向上と近隣駐車場との均衡を図る観点から、料金を引き下げ運営していることは評価するものでありますが、さらに進む中心市街地の沈滞化や近隣駐車場の状況を見るとき、駐車場事業の設置目的である商業及び観光の振興に寄与するために、利用者ニーズや近隣駐車場の現状把握に努めながら、さらに利用率の向上に取り組むよう意見がありました。
 また、索道事業においては、今後もなお一層の観光客誘致に向けて、眉山の魅力を引き出す一翼を担うモラエス館の修繕やロープウエイの音声案内の見直しを求める意見があったほか、これまで取り組んできたイベントの効果等について十分検証し、さらなる取り組みに力を注ぐよう意見がありました。

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次に、土地造成事業会計について申し上げます。
 当事業は、地域経済の発展に寄与する産業等の用地を供給するために、平成6年度から、産業団地「ハイテクランド徳島」の分譲を行ってきましたが、長引く景気の低迷から企業の設備投資意欲が減退する中、平成15年度からは定期借地権制度に基づく賃貸借方式といったことも取り入れ、現在に至っております。
 当年度は、分譲・賃貸ともに新たな契約はなく、分譲総面積11.2ヘクタールに対し、残る未契約用地は0.4ヘクタールとなっておりますが、現下の経済力に期待するところではありますが、分譲用地が残りわずかとなっていることや、将来を展望するとき、当会計を継続していく意義について、改めて検討すべき時期にあるのではないかといった意見がありました。

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次に、水道事業会計について申し上げます。
 当年度は、総収益43億2,646万4千円に対し、総費用が42億8,820万4千円で、3,826万円の純利益を生じ、この純利益に前年度からの繰越利益剰余金を加えた当年度未処分利益剰余金は、4億1,847万5千円となっております。
 水道事業を取り巻く環境は、給水人口の減少や節水機器の普及、景気の低迷などにより、水需要が伸び悩む中、第4期拡張事業による多額の企業債の償還や施設の更新・耐震化に伴う経費の増加が見込まれており、経営環境は今後ますます厳しくなることが予測されていますが、市民生活はもとより、都市機能の根幹をなす施設として、常に良質で安全な水を安定的に供給し続けなければなりません。
 本市では、東南海・南海地震が想定される中にあって、水道管等の耐震化事業計画が示されておりますが、多額の経費と期間を要する事業であることから、市長部局を初め関係機関と十分連携しながら計画的に取り組んでいくよう意見がありました。
また一方で、独立採算性を求められる企業として、また市民に理解が得られるよう、さらなる経営健全化に取り組んでいくよう意見がありました。
 また、従前から問題となっている石綿管や鉛管の布設がえについては、今後も積極的な対応を要請いたしました。

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次に、旅客自動車運送事業会計について申し上げます。
 当年度は、経営改善計画の最終年度に当たっておりますが、総収益12億5,215万3千円に対し、総費用が11億6,077万2千円で、9,138万1千円の純利益を生じており、この結果、累積欠損金も9,052万4千円と半減しております。
 しかし、この原因は、当年度における退職者数の減等により、職員給与費が減少したことによるものであり、実質的には一般会計の繰入金7億4,118万3千円に頼らざるを得ない非常に厳しい経営状況となっております。
 一方、一般乗合部門においては、乗車人員が502万3,877人で、前年度と比較して5万8,596人増加し、運送収益も606万1千円の増収となっておりますが、反面、一般貸切部門では利用者が4万3,080人と、前年度に比べて4,720人減少し、運送収益では、前年度に比べて579万9千円の減収となっております。
 このような中、貸切部門については、規制緩和の影響や旅行の小型化等により、平成19年度から赤字に転落し、一般乗合部門の経営を補てんする収益事業としての成果が見込めないことから、今後廃止も含めて、そのあり方について検討するよう意見がありました。
 また、当年度に「徳島市バス事業の在り方検討委員会」からの答申が提出されておりますが、今後はその具体化に向け市長部局を初めとした関係機関と協議・連携しつつ、公共交通機関として、さらなる安全性と利便性の向上に取り組むよう意見がありました。
 また、利用者の利便性向上と交通弱者対策を目途に導入を進めているノンステップバスについては、市内一円にその効果が上がるような取り組みを求める意見がありました。

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次に、市民病院事業会計について申し上げます。
 当年度の延べ患者数は21万7,902人で、前年度と比較して、入院患者で4,087人、4.7%の増、外来患者で5,008人、3.8%の減と、合計921人、0.4%の減少となっております。
 経営成績では、総収益76億3,621万1千円に対し、総費用が98億3,607万2千円と上回り、21億9,986万1千円の純損失を生じており、累積欠損金は前年度と比較して36.0%増加し、83億589万7千円となっております。
 また、不良債務は、当年度に徳島市民病院改革プランを策定したことにより、公立病院特例債の発行が認められ、前年度に比べ大幅に減少し、資金不足比率も1.1%と、経営健全化基準である20%を大きく下回っております。
 しかし、これは一時借入金が長期債に振り替えられたことによるものであり、今後においても新病院建築にかかる企業債や特例債の償還が新たに加わり、さらに厳しい経営状況が続くことが予想されております。
 このように非常に厳しい経営環境の中、地域医療支援病院の承認を受けるとともに、市民病院が目指す急性期病院への取り組みを着実に実行し、その効果として、医業収益の増収につなげたことは、一定評価するものであります。
 そういった中で、手術件数が前年度に比べ約20%程度増加していることが報告されましたが、今後も増え続けることが予想されている手術への対応について、高度医療を担う地域の中核病院として万全を期するよう意見がありました。
 また、後発医薬品の使用拡大について、より一層の取り組みを求める意見がありました。

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 以上が、当委員会における審査の概要でありますが、最後に、各企業管理者においては、厳しい経営環境のもとではありますが、より一層の経営健全化に取り組むとともに、ただいま指摘いたしました意見・要望等について十分検討し、今後の経営に反映されることを要望して、決算審査特別委員長の報告といたします。


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