徳島県議会議員 笠井国利の部屋

委員会発言

平成25年11月定例会 経済委員会(農林水産部関係)

平成25年12月10日(火)
笠井副委員長
 今日,私は質問する予定じゃなかったんですけれども,誰も質問する方がいらっしゃらなかったので,質問通告はしてませんから,簡単に答弁できるような質問をしたいと思います。攻めの農林水産業の確立の中で,「産直市売上拡大に向けた取組み支援」ととが書いてあります。これは,どのように具体的な支援をされるのか,お教えいただきたいなと思います。
丸谷もうかるブランド推進課長
 産直市の売上の増加に向けた支援の内容でございます。産直市につきましては,これまでも施設整備でありますとか,その中の販売のシステムでありますPOSシステム導入でありますとか,そういったものに支援してきております。
 今の産直市の現状でございますけれども,やはり他県といいますか,県外客あるいは県内客の取り込みといいますか,産直市に来ていただくための魅力づくり,あるいは県外客にどうPRしていくかというところが1つの問題,課題であると考えております。
 そういったことで,今,産直市のそれぞれの魅力の掘り起こしを行いまして,それを1つの情報誌にしようということで作成をいたしております。加えまして,ナビアプリ,インターネットで検索して,その産直市がどういう物を扱っているか,どういうところに売りがあるのかというようなものを積極的に情報発信していきたいと思っております。
 そういった産直市それぞれの魅力を県外の方に紹介するために,商工労働部,観光部局とも連携いたしまして,エージェントへの売り込みであるとか,そういったものも考えていきたい。そういったことで,産直市の魅力アップ,または売上増加につなげていければと考えております。
笠井副委員長
 結局,PRとかそういうことをするということで拡大を目指していると。財政的には,例えば,具体的にこういう施設を造ったら,どういう補助金が出るとか,そういうことは考えていないんですか。
丸谷もうかるブランド推進課長
 今,産直市のハード整備につきましては,県単で「明日の農林水産業づくり」の補助金もございます。そうした補助金,あるいは国の交付金の制度もございます。そうしたものが活用できる場合もございますので,必要に応じてと言いますか,その要望がありましたら,そこでいかに乗せていくかということを県としても指導してまいりたいと言いますか一緒になって考えていきたいというふうに考えております。
笠井副委員長
 良く分かりました。今の答えをちょっと頭に置いておいてくださいね。皆さん御存じのように,自分で原価がこんだけやと,利益,手間代を乗せて定価がこんだけやと言うて売れない品物は,農林水産業だけなんですよね。あとの物は全部,原価の上に利益も乗せて「定価いくらですよ。定価から2割引きしますよ」と売ってますね。農林水産品だけは,自分で値を付けられないんですよね。ですから,必ず市場を通すなり何なりして,そこで競って「この商品はいくらですよ」というのが普通なんですよね。
 ところが,今,量販店なんかになりますと,直接,農家契約をしているんですね。例えば,「ほうれん草を1把100円で買いますから,大体これくらいで生産してくださいよ」と契約栽培しよるんです。量販店が値段を決めるのは,やっぱり「市場がこれだけやから,それよりも高く買いましょう」ということで,農家が「それだったら儲かるな」ということで契約するんですね。例えば,市場で100円でも売れているのに,50円で契約しろと言うたら誰もしないですよ。市場より少なくとも1割でも2割でも高く買いますよと。だから,こういう製品を納めてくださいと契約栽培しよるのが量販店なんですね。
 これがあまりにも進みますと,今も進んでいるんですけれども,量販店に全部良い物が流れますと,例えば,徳島市場とか,そういった地方市場に流れるのは,小規模農家とか,あるいは零細農家,兼業農家の「ちょっと食べ切れんけん市場に出そうか」という,そういう品物ばかりが地方市場に流れるんですね。大きな農家というのは,大体系統出荷で農協を通して京阪市場に流れるんですけれども,地方の市場に流れているというのは,本当に小規模農家で選別も悪い,商品もどちらかというと二流品が行っているんです。
 昔は,例えば,どこそこのスーパーへ卸す,あるいは,どこそこの八百屋に卸すからといって,品物がない時は競り上げていっていたんですね。量販店が全部そういうふうなシステムでやりますから。皆さんの周りに八百屋だけで店出しとるっていう店はありますか。ないでしょ。皆潰れてしまっとんですね。これは,やっぱり商品も悪い,品物も揃わない,だから,そういう青果店が学校給食とか,あるいは量販店に納めていたやつが,できなくなったからだと私は思うんですよ。
 私も徳島市農協のカリフラワー部会の部会長をしよったんです。私が部会長を受けた時は,阪神市場だけだったんですよ。先程,有持委員も言いましたように,たくさん採れると安いですね。例えば,カリフラワーを4,000ケースが阪神市場でさばけるとします。雨が降ってちょっと暖かい日が続くと,倍の8,000ケースが出るんですね。例えば,4,000ケースが1,000円で売れよったら,8,000ケースというと150円,200円なんですよ。売れない。
 そこで,私がどないしたかと言うと,東京市場に殴り込みをかけました。結局,4,000ケースを東京市場へ抜くことによって,大阪市場も競りが成立するんですね。東京市場というのは相対取引なんですよ。前日に値段もケース数も決まってて,「何ぼ送ってくれ」という相対取引をするのが築地市場とか太田市場なんですね。そこで,「大阪でこんだけ売ってるんだから,お前んとこもちょっと運賃が余計にかかるんやけん,運賃の分乗せてくれよ」と。だから,日常8,000ケースが出ても値段が崩れないんです。あるいは,大阪市場が安く競ると,「東京市場がこんだけ売ってるのに,何でお前んとこは売れんのな」と言うて競争できるんですね。そういうふうにやってきたんですけれども,結局,競争しなくなると競り上がらないんですよ。
 さっき言った初めに戻りますけれども,「契約農家に100円で買うから,うちと契約してくれ」と量販店は言います。そうすると量販店に行く。そうすると,市場価格は50円になります。必要がなくなるんだから。まして今,八百屋さんがありませんので,小さな八百屋さんに買いに来ないんですよ。青果屋さんは,値段をどうしても付けないかん。10円や1円の値段を付けるんですよ。そんなので農家がやっていけるわけない。そうすると量販店が今度は何て言うかというと,「市場が50円でないか」と,「ほな,うちは来年から60円にします」と言って下げてくるんですよ。
 こんな言い方をしたら悪いんやけれども,農家が目先の利益にこだわって,結局,首を締めていっているんですよね。これは市場法で,例えば,そういう契約栽培にしても市場を通すとか,そういうことはできないんですか。そうしないと段々,段々と,農家というのは弱い立場で,原価もかけてしとんのに,原価計算ができないんですよ。相手の言うがまま。要らなかったら1円や10円と付けるんですよ。知ってますか,皆さん。
 それから,市場相場というのは不思議なんですよ。100ケース出すでしょ。1箱だけ1,500円と付けるんです。下は言うたら,ただみたいに捨てる値段やね。捨てると言うたら語弊があるかも分からんけれども,青果屋さんは買っても売れないと,そんな値段を平気で付けるんですよ。青果,仲買いさんやって商売ですから,市場で売れない物を無理やり押し付けられるんですからね。だから,ゴミに処理する料金ぐらいしか付けてくれないんですよ。それが実態なんです。
 そういう流通システムというのが変わってきたよね。私はそう思うんですけれども,林副部長,今日は何も話してないですね。私の考え方っておかしいでしょうか。それとも県として,これは何とかせなあかんと思うんでしょうかね。言いにくかったら,副部長としての意見でなくても,個人的な意見でも良いんですけれども,ちょっとお尋ねしたいと思うんですが,どうですか。
林農林水産部副部長
 委員がおっしゃられるように,昨今,量販店での取引が増えていると思っております。これは消費者の目線から考えますと,どちらが先かという問題がございますが,やはり利便性等もございまして,以前の八百屋さんというよりは,色々な物が揃えられる量販店で購入することが増えてきたと。そうなると結果的に,八百屋さんがなくなってきたというのが現状ではないかと考えております。
 こうした中で,過去は量販店といいましても,市場を経由した物が行っておりましたが,昨今は,農家さん自身が大型化していく,法人化していく中で,直接取引と申しますか,契約取引も多くなってきているというところであります。委員がおっしゃられるように,確かに量販店にとりますと,やはり利益を出したいし,消費者に対しては安く売らないと他の店に客を取られるという中で,値段が段々と下がってきているというところで,農産物の値段がなかなか上がらないという悩みを,農家さんを通してでございますが,我々も実感として考えているところでございます。
 それはそうなんですけれども,こういう流通の流れが変わってくる中で,流通そのものを,例えば過去に戻すとか,止めるとかいうふうなことは,実質上,現実的ではないかと考えております。こうした中で我々は,なかなか難しい道ではございますが,やはり徳島県の物がなければ量販店としては成立しないんだと言われる物を作って,たとえ高くても,よその産地より高くても,徳島県の物を買いたいんだということにということになりますので,何とかそういうふうになるようにということで,ブランド戦略にも取り組んでおります。また,大阪なり東京なりの市場の方とも色々と懇談会を持ちまして,努力しているところでございますので,ぜひ,委員の皆さんの御協力もよろしくお願いしたいと思っているところでございます。
笠井副委員長
 非常に答弁しにくい答弁をいただきました。ありがとうございました。本当に今,言うように,ブランド化して良い品物を,副部長が言うように「徳島の県産品でないと,やっぱりあかんわ」と言われるような県産品を作るような農家の努力も必要だと思いますけれども,行政としましても,やっぱり徳島県産品は良いんだということで,アピールしていただけたらと思います。
 農業問題ばっかりを言うと,また,水産業に怒られるかも分かりませんので,ちょっと私が最近気が付いたことをお尋ねしたいんですけれども,実は吉野川のシジミ,このシジミって,私が子供の頃はどこを掘ってもシジミがおったんですよ。それで,ある方から電話をいただきまして,「このごろ全然シジミが取れん」と言うんですね。この方はひどい人で,「あれは池田ダムを造ったから,シジミが取れんようになった」と,ほんで「香川県にやっている水を止めてしまえ」と,そこまで言うんですよ。それで,「そんなの,私の力ではとてもできません」と言うたんですけどね。
 私も吉野川のシジミしか買わないんですけれども,昔は大きなシジミだったんですよね。宍道湖が,今でもシジミの町で,あるいはシジミの湖で通っているのは,目の大きさが決まっているんですよ。目の大きさが小さいやつは皆ブルんですね。多分,男の人やって,奥さんがシジミの味噌汁を作ってくれたら分かると思いますけれども,昔はシジミの身を食べよったけれども,今は小さ過ぎて身が食べれんですよね。汁を吸うだけ。徳島県って,そんな小さなシジミを取っているんです。置いておいたら,5倍くらいになるんですよね。それで,子供も産みます。あんな子供を取って市場に出して売ったら,ほら,子供は産まんし,かさはないし,シジミがおらんようになると思いますけれども,これって例えば県として「シジミは,大きさどのくらい以下は取ってはいけませんよ」という規約とか,規約って言うたらおかしいけど,そういう協定みたいなのはあるんですか。
森漁業調整室長
 ただいま,シジミの採取の制限があるかというふうな御質問でございますけれども,シジミについては,漁業調整規則上は特に制限を設けてはございません。ただ,手元には資料がないんですけれども,それぞれの漁業権がございますので,その中で,行使規則なりで制限があるかも分かりません。ちょっとその辺りは,確認をさせていただけたらと思います。
笠井副委員長
 これは,県が指導できんのだったらやむを得んのですけれども,漁業組合のほう島県の場合は1センチメートル以下のシジミは取ったらいかんとか,そういうふうにすれば,シジミがなくなるということはないと思うんですけどね。あんな小さなシジミを取ってしまったら,多分,本当に徳島県からシジミがいなくなると思うんですよね。宍道湖みたいに厳しい規制でやれば,大きなシジミばっかりになると思うんですけどね。ちょっと答弁が難しいようなので,そのくらいにしときたいと思います。
 それから海外戦略で,例えば,サツマイモを持って行って販売しているというんですけれども,これはどういうふうに海外の販売というか,台湾とかタイとか,向こうのほうにどうも行っているような気がするんですけれども,どういうふうな販売方法をとっているんですか。徳島県の鳴門金時の販売方法は。
住友六次化・輸出戦略室長
 海外での農林水産物の販売についてでございますけれども,やはり直接こちらのほうから向こうへ売るということはなかなかできませんので,例えば,現地の百貨店でございますとか,あるいは現地のバイヤーさんのほうの需要状況を確認しまして,つないだ中で輸入をいただくというふうな形が通常でございます。
 まずは,相手国の需要を確認してからということになりますけれども,特に香港ですとか台湾等につきましては,国内での需要がございますM寸,L寸というやつよりは,S寸でございますとか,SS寸という少し小さいサイズの物の需要がございますので,そのような需要を見ながら,相手側の輸入業者,あるいは百貨店のほうに売り込んでいくというのが今の取組の状況でございます。
笠井副委員長
 その時に,販売のデモをするというのはないんですか。
住友六次化・輸出戦略室長
 実際に,現地で販売をする時には,やはり現地のバイヤーさん,販売の担当者のほうに現物を見せる。あるいは,実際の物を加工して食べていただくというネゴシエーション,ないしはプレゼンテーションも行っております。
 そういった中で,これは良い,あるいは徳島県産の鳴門金時でございましたら,やはり色目が紫で非常に綺麗だとか,そういうふうに実物を見て採用していただく物もあるというのが現状でございます。
笠井副委員長
 そこでサツマイモを売るために,電器メーカーさんとタイアップで売るという方法は考えられないんですか。
住友六次化・輸出戦略室長
 今,委員のほうから御提案がありました件でございますけれども,やはり向こうでの食べ方の提案でございますとか,「こういうふうにしたら美味しく食べれるよ」というような提案というのは,向こうでも必要になってまいりますし,あるいは,そのプロモーションをする時には効果があるかと思われます。電器会社のほうとタイアップするかどうかはとりあえず置いておきますけれども,向こうでのプロモーションの仕方については,色々と検討する必要があるかと考えております。
笠井副委員長
 と言うのは,中国人とかの富裕層が日本に来て秋葉原に行くと,帰る時に電気釜を5つも6つも買って帰るって言うんですね。韓国とか中国というのは,確かにIT関係のテレビとかパソコンとか,そういう物というのは,やっぱり日本に追い付け追い越せで,そして安いということで,日本のカラーテレビとか,あるいは液晶関係の物がやられてしまうぐらい伸びてきたんですね。
 ただ,白物に関してはいい加減なんですよ。新しい洗濯機を買って帰ったら動かない。文句を言ったら新品に取り換えてくれるけれども,文句を言わんかったら泣き寝入りなんですね。電化製品に関しては,そういうふうなことらしいんです。だから多分,日本のお釜で炊くと美味しい。しかも,日本のお米を現地で買って,お釜で炊くと美味しいというので売れていると思うんです。
 それと同じように,例えば今,焼き芋機っていうのがありますね。男の人が多いけん,あまり知らんかな。電気で焼き芋機っていうのがあるんですよ。「この鳴門金時をこの焼き芋機で焼いたら美味しいですよ」と,芋だけでなしに,焼き芋機も売るんですよね。どうせそんな日本の電気製品を買ったり,あるいは日本の芋であるとか,米を買う人は富裕層なんで,これでやって美味しいというのが分かれば,買ってもらえると思うんですよ。
 そうすると,そういう電気製品も売れるし芋も売れる。調理の仕方が分からなければ,買ったけれども美味しくないって言われたら困るんですよね。やっぱり美味しいから,また買いたいっていう気持ちになってもらわないと,いくら富裕層であっても買わないと思うんですよ。だから,そういう作物を,野菜なんかを輸出する場合も,「この芋だけ売るんだ」とか「この白菜だけ売るんだ」というのではなくて,やっぱりそういうふうに,何かと絡めていけば,そういう柔らかい発想でもって戦略していけば,もっと他の物も日本製品が売れるんではないかと思うんです。
 今後,どういうふうに広げていくのか分かりませんけれども,機会がありましたら,ぜひ,そういうふうな戦略方法も考えていただきたいなと。芋だけを売るんじゃなくて,日本の製品を同時に売る。そういうことを考えていっていただければいいなと思っております。これは要望しておきます。

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